





【今回の真実】
「受験生なのに勉強しない」のは、怠けとは限らず、やり方がわからない・心の余裕がない・環境が整っていないことも多いです。
無理やり机に向かわせるよりも、原因を見極めて「気持ちと環境」を整えることが合格への近道になります。
①ただ「勉強しなさい!」と言っても逆効果な理由
②多くの親が見落としている「勉強しない」本当の理由
③「勉強しない子」が勉強を始めるきっかけは「行動」から
④親が無意識にやってしまうNG行動
⑤エピソード:ゲーム好きの受験生が変わった瞬間
①ただ「勉強しなさい!」と言っても逆効果な理由
朝起きては「勉強しなさい!」
学校から帰ってきたら「勉強しなさい!」
夕食を食べて「勉強しなさい!」
つい口から出てしまうこの呪文のような言葉。
でも、残念ながら、多くの場合それは逆効果になってしまいます。
なぜか?
それは、子ども自身も「やらなきゃいけない」ことは頭では分かっているからです。
分かっているのに、できない。
その状態にすでにイライラや焦りを感じているところに、追い打ちをかけるように「勉強しろ」と言われると、もう耳をふさぎたくなる。
反発したくなる。
そして、お母さんや周りの大人の言葉が、ただの「うるさいノイズ」に変わってしまうんです。
じゃあ、どうすればいいのか?
まずはその「勉強しない」という状態の、もっと奥深くにある本当の原因を探ることから始めましょう。
②多くの親が見落としている「勉強しない」本当の理由
「うちの子はやる気がないから勉強しないのよ!」
「どうせゲームばっかりしてるからよ!」
こういった原因を、あなたは考えていませんか?
もちろん、やる気がないように見えることや、ゲームに夢中になっていることは事実かもしれません。
でも、私が見てきた多くの受験生、そしてその保護者さんたちのケースを振り返ると、そこにはもっと根深い、そして深刻な理由が隠されていることがほとんどです。
それは、
「どうせやっても無駄だ」
「どこから手を付けていいか分からない」
という、子ども自身の心の声です。
以前、こんな生徒がいました。
中学3年生の男子です。
毎日部活から帰ってくると、すぐにスマホをいじり始め、机に向かおうとしません。
当然、お母さんは毎日「勉強しなさい!」と怒っていました。
ある日、面談に来てくれたお母さんは、まるで降参したかのようにこう言いました。
「先生、この子、本当にやる気がなくて。もうどうしたらいいか分かりません。」
そこで私は、その子本人と話してみました。
私:「なんで勉強したくないの?」
生徒:「だって、どうせやっても点数上がらないし…。」
私:「そうか。じゃあもし、少しでも点数が上がるなら、勉強してみる?」
生徒:「…どうやったら上がるのか、分からないです。」
そう、この子の本当の悩みは、「やる気がない」ことではありませんでした。
点数が上がらない現実を前にして、「どうせやっても無駄」と諦めていたのです。
そして、勉強を始めるにはあまりにも遠すぎる、どこから手を付けたらいいか分からないという迷子状態だったのです。
あなたのお子さんも、もしかしたらこの子と同じような状態かもしれません。
③「勉強しない子」が勉強を始めるきっかけは「行動」から
では、どうやって「諦め」と「迷子状態」から抜け出させてあげればいいのでしょうか?
多くの保護者さんや生徒さんが、「やる気」を待とうとします。
「やる気になったら、きっと勉強してくれるはず…」
でも、残念ながら、やる気は「待つ」ものではありません。
やる気は「行動」した結果、生まれてくるものです。
つまり、まずはほんの少しでいいから行動を起こさせてあげること。
それが何より大切です。
たった10分でもOK!「座る」ハードルを下げてみる
まずは机の前に座らせることから始めましょう。
「よし、今日は数学の教科書の1ページ目だけでも見てみようか」
「英語の単語を5個だけ覚えてみようか」
こんな風に、ごく小さな目標からスタートしてみてください。
大切なのは、完璧を求めないこと。
少しでもできたら、「すごいじゃん!」と褒めてあげること。
そうやって「できた!」という小さな成功体験を積み重ねていくうちに、子どもは「あれ、意外とやれるかも?」と感じ始めます。
そして、この「意外とやれるかも」という気持ちこそが、やる気の火種になるのです。
「スマホ断ち」は逆効果?ルールは親子で話し合って決める
勉強しない原因の筆頭に挙げられるのが「スマホ」や「ゲーム」。
文部科学省の調査でも、スマホやゲームに充てる時間が長い人ほど、学力テストの平均正答率が低いという結果が出ています。
「スマホばかりいじってないで、勉強しなさい!」と、ついつい力づくでスマホを取り上げていませんか?
でも、これはあまりおすすめできません。
スマホは、今の子どもたちにとって友達とのコミュニケーションツールであり、重要な情報源です。
それを一方的に取り上げられると、子どもは「自分を理解してくれない」と感じ、ますます心を閉ざしてしまいます。
スマホのルールは、親子で話し合って決めることが重要です。
「勉強中はリビングに置いておこうか?」
「夜9時になったら、お母さんに預けてくれる?」
このように、「どうすれば勉強に集中できるか」という視点で、子どもと一緒に考えてみてください。
自分もルール決めに参加しているという感覚が、子どもに納得感と責任感を持たせます。
④親が無意識にやってしまうNG行動
お子さんに「勉強しなさい!」と言ってしまうように、保護者が良かれと思ってやってしまうことが、実は逆効果になってしまうケースは少なくありません。
特に注意したいNG行動をいくつか挙げます。
●認めず否定する:「なんでこんなのもできないの!」
→自尊心を傷つけてしまう可能性があります。
●比較する:「◯◯くんはもう塾に通ってるのに」
→劣等感が強まり逆効果になることがあります。
●ご褒美や罰で釣る:「90点取ったらゲーム買う」「やらなきゃスマホ禁止」
→目的が歪み、長続きしません。
⑤エピソード:ゲーム好きの受験生が変わった瞬間
ある男子生徒は、家ではゲームばかりで机に向かう気配ゼロでした。
私は勉強の話をせず、まず「最近やってるゲーム、どんなの?」と聞いてみました。
すると、彼の表情が一気に和らぎました。
そこから少しずつ信頼関係を築き、「英語があまり好きじゃない」と本音を話してくれるようになったのです。
原因は英単語の練習不足。
英単語をどうやって覚えたらいいのか?練習法もよくわかっていない様子でした。
そこで一日にやる量とペースを決め、書いて覚えるのか?見て発音するのか?やり方も丁寧に教えました。
2週間後、彼は英単語テストで満点を取りました。
嬉しそうな目の輝きは忘れられません。
この小さな成功体験が、大きな転機になったのです。
まとめ:子どもは必ず変われる
受験生なのに勉強しない――。
親としては焦り、不安になりますよね。
でも、「怠けている」のではなく、子どもは「迷子」になっているだけかもしれません。
だからこそ、必要なのは「叱ること」ではなく、「伴走して原因を一緒に探すこと」です。
そして忘れないでほしいのは、やる気は待つものではなく、行動から生まれるということ。
10分だけでも机に座る、単語を5個だけ覚える――。
その小さな一歩が未来を変えます。
思い立った時が、始める時です。
一緒に、お子さんの“やれるかも”を育てていきましょう。












