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[デジタルvs.アナログ論②]AI化がもたらす学習効率UPと失われる問題解決能力

2023年度までに生徒一人に1台ずつ、PC・タブレット端末を配布する「GIGAスクール構想」。
新型コロナ下で浸透したオンライン授業を皮切りに、そのデジタル化の勢いが増そうとしています。
当塾に通っている生徒さんも、学校からパソコンやネット利用に関するアンケートを受けたと先日話していました。

ということで『デジタルvs.アナログ教育論』第二弾は、「教育のAI化」をテーマにしたいと思います!

実際一人1台ずつ配られて何に使うの?という疑問が湧いてきますが、一つわかっていることは「学習履歴をもとに、個々の生徒に応じた最適な学習の支援を行う」という機能が入っていることです。
大手教育企業からも“AIタブレット”なるものが本格的に宣伝され始め、これからの生徒は「学習を端末に記録し、出来具合や進捗状況に応じてAIが示した最適な学習方法にしたがう」という方向に向かっていくでしょう。

これが進めば、日本の教育環境は大きく変わることになります。

教育のAI化がもたらすメリットとデメリットとは何でしょうか?
では順番に見ていきましょう!

第一弾の記事はこちら↓

①教育AI化のメリット

「勉強のやり方がわからない」
「どこが苦手なのかすらわからない」

これはたくさんの生徒さん・保護者の方と接していて、本当によく聞くお悩みです。
そして教育AIは、これらのお悩みを解決してくれる最適なツールになります。

日々の学習時間や内容、テストの結果、志望校などを入れると瞬時に最適な勉強法を示してくれる。
こんな教育AIが完成したら、ものすごく便利ですよね!
みんな勉強法に悩むことなんてなくなるでしょう。

簡単なテストを受けるだけで、どの科目のどの単元が苦手なのか知ることもできます。
苦手克服のための一助を担ってくれるでしょう。

とにかく勉強を最大限効率化させてくれること。
これが教育AIの大きなメリットです。

②教育AI化のデメリットと生徒に求められること

さて、そんな便利機能満載の教育AIですが、どんなデメリットがあるでしょうか。
それは、「生徒が自分で問題解決するチャンスが失われてしまうこと」だと思います。

教育AIはいわば“転ばぬ先の杖”です。
常に最適な方法を提示し続けてくれるので、生徒自身が方法を試行錯誤する必要がなくなり、失敗も未然に防がれます。

しかし一方で、「どうやって勉強したらもっといい結果につながるだろうか?」と生徒自身が考える機会を奪ってしまうのです。

社会に出れば、だれかがやり方を教えてくれるとは限りません。
それは不親切な世の中だという話ではなく、そもそも「答えが存在しない問題」にたくさん取り組んでいかなければならないのです。

競合ひしめくマーケットの中で、自分の店舗がいかにして売り上げを出すのか?
いつも部品を調達していた提携先から突如部品が調達できなくなったら、どうやって製品を維持すればよいのか?
ネット上でサービスを展開している会社が、ハッキングやウイルスにより一時サービス停止に追い込まれたらどう対処すればよいのか?

社会人になればそれぞれが日々そういった問題を解決していかなければならないのです。

「業界の常識や過去の事例を参考にすれば、やり方は転がっているのではないか?」という声もあるかもしれません。
しかし、常識や慣習が正しいとは限らないのです。

世界で最も売れている小売店であるAmazonは、実店舗をほとんど持ちません。
商売には実店舗が必要という常識はもはや過去のものになりました。

高級車、ブランド服、高価な時計…
どれもレンタルが可能になり、新しいビジネスへと繋がっています。
買わなければ使えない、という常識が変わりつつあるのです。

話が少し変わってしまうかもしれませんが、新型コロナが流行する中で人々の間接的な接触を避けるため、とあるコンビニの店長さんがある工夫をしたというニュースがありました。
飲み物売り場の扉を、足で開けられるように改造したというニュースです。
戸を足で開けるなんて行儀悪いですが…とインタビューで話しながら、でもこういう事態だから仕方ないと店長さんは話していました。
その後、いろいろな業界やお店から、扉の改造方法について問い合わせが殺到したそうです。

小さなことですが、素晴らしいアイデアだと思います。
こういう工夫も、常識にとらわれていては生まれません。
どこかにやり方が載っているわけでも、誰かが教えてくれるわけでもありません。

何をお伝えしたいかと言うと、「常識とは真逆のこと」をやることが良い場合もあるということです。
今までにない事をやるのですから、誰かが教えてくれるわけがありませんね。

そして今の社会では、そういった「自分なりの工夫」や「常識にとらわれないアイデア」、「新しい解決策」を生み出せる人材が本当に求められています。
日本はどんどん国際競争力が落ちており、国もクリエイティビティ溢れる人間を育てようと躍起になっているのは事実です。

そういった社会に出た時に、果たしていつもやり方を教わってきた生徒さんが通用するでしょうか。
これは当人にとってなかなか難しいことだと思います。
やり方を自分で試行錯誤した経験が少ないのですから、当然でしょう。

失敗は学生時代にたくさんすべきだと、私は思います。
もちろん受験に失敗してもよいという話ではありませんが、受験に至るまでの定期テストや模試では、何度も何度も試行錯誤しながら自分に合った勉強法を探り当てていくことが大切だと考えています。
その経験こそが、社会に出た時に骨身に沁みた問題解決能力として、さまざまな場面で発揮されるのです。
逆にそういった能力が育っていないと、学生時代と社会人とのギャップに面食らってしまい、早々に会社を辞めてしまったり引きこもってしまったりするケースもあるのです。

デジタル化が進むこと自体は大いに歓迎なのですが、AI含め、生徒たちの考える機会を奪うのではなく、豊かな想像力を育むような使われ方がされればよいと感じています。