①親のサポートは「学力」ではなく「人間力」へのアプローチ
②勉強に前向きになれない生徒への処方箋:心理的安全性と動機付けの極意
③中上位層を突き抜かせたい親のフォロー術:忘却を防ぐ「対話」の技術
④集中を「デザイン」する:科学的な環境づくりとスマホの境界線
⑤自己イメージを「120点」に書き換える:メンタルブロックを外す魔法の声かけ
⑥親子関係を壊さないために:プロ(第三者)を賢く活用するタイミング
①親のサポートは「学力」ではなく「人間力」へのアプローチ
「うちの子、どうすれば勉強するようになりますか…??」
どうも、宮入個別指導塾の教務、野口です!
私はこれまで数えきれないほどの親御さんとお話ししてきましたが、この質問に答える時、いつも最初にお伝えすることがあります。
それは、親ができる最大のサポートは、勉強を「教えること」ではなく、勉強に向かうための「エネルギー」を枯渇させないことだ、ということです。
中学生という時期は、思春期の真っ只中。
親の言うことは何でも「うるさい」「わかってる」で片付けられ、反抗的な態度に親御さんもイライラを募らせる……。
そんな状況で「勉強しなさい!」と正論をぶつけるのは、逆効果になってしまう可能性があります。
親御さんは、勉強の「先生」になろうとしてはいけません。
むしろ、「一番の理解者であり、一番のサポーター」であってください。
この記事では、なかなかエンジンがかからない生徒から、すでに頑張っているけれどもう一歩レベルアップしたい生徒まで、すべてのケースにおいて親がどう関わるべきかを深掘りしていきます。
②【PART 1】勉強に前向きになれない生徒への処方箋:心理的安全性と動機付けの極意
まず、なかなか机に向かう習慣が持てない、あるいは勉強に対して拒否反応を示しているケースから考えていきましょう。
この状態の生徒に対してまず親御さんからしてほしいことは、「勉強しなさい」と強制することではありません。
「心理的安全性を確保すること」です。
私が過去に書いた記事でも触れましたが、人間には「欲求の階層」があります。
アメリカの心理学者マズローが唱えたものですが、生徒(お子さん)と勉強について考えるとき、これがとても大事です。
「勉強ができるようになりたい」「目標を達成したい」と思うのは、ピラミッドの一番上にある『自己実現の欲求』です。
しかし、その土台には『所属と愛の欲求』と『承認欲求』があります。
つまり、「今の自分は家族から認められている」「勉強ができなくても居場所がある」という安心感がなければ、エネルギーは勉強という「成長」「挑戦」に向かないのです。
もし親御さんが「テストが何点だったか」だけで評価をしたり、成績が悪い時にだけ厳しい言葉をかけているとしたら、生徒にとって家は「評価される戦場」になってしまいます。
これでは戦い(勉強)に疲れた心を癒すことができません。
まずは、勉強とは関係ない部分での承認を意識してください。
「今日の服、いい着こなしだね」
「きちんと整理できているね」
そんな何気ない肯定が、生徒の心のエネルギーになります。
その上で、動機付けをどう行うか。
私は生徒のタイプを2つに分けて考えます。
1.「危機感」に反応するタイプ
「このままだとマズい」と感じて初めて動くタイプです。
このタイプには、感情的に叱るのではなく、客観的な事実(データ)を淡々と見せるのが効果的です。
「今の内申点だと、行きたい高校の合格率はこれくらいだよ」
「高卒と大卒では、初任給でこれくらいの差が出るというデータがあるよ」
親が「やりなさい」と言うのではなく、「事実」に語らせるのです。
中学生は、親にコントロールされることを最も嫌いますが、「自分にとって損な状況」を理解すれば、自らの意志で動き出します。
2.「希望」に反応するタイプ
「頑張ったらこんなに楽しいことが待っている」というポジティブなイメージで動くタイプです。
「あの高校の文化祭、楽しそうだったね」
「勉強を頑張れば、将来こんなに自由な選択ができるよ」
こちらからワクワクするような未来を提案し、生徒自身の「欲」を刺激してあげてください!
どちらのタイプであっても、親が「勉強をさせる」のではなく、「本人が動くための材料を揃えてあげる」というスタンスを意識すると、嫌なバトルをすることもなく笑
とても効果的です!
③【PART 2】中上位層を突き抜かせたい親のフォロー術:忘却を防ぐ「対話」の技術
次は、すでにある程度勉強には取り組んでいるけれど、なかなか「突き抜けない」という層へのサポートです。
中位から上位へ、あるいは上位からトップ層へ行くためには、学習の「質」と「定着率」を上げる必要があります。
多くの生徒が自分の理解力や記憶力を過信していて、「わかったつもり」で終わってしまうのはよくある話です。
エビングハウスの忘却曲線をご存知の方も多いでしょう。
人間は、学んだことの74%を1日後には忘れると言われています。
この数値が学校の授業内容にも完全に当てはまるわけではないかもしれませんが、「大半のことはすぐ忘れる」というのは感覚的にも納得がいくと思います!
これを防ぐために親ができる最大のフォローは、「24時間以内のアウトプットの機会」を提供することです。
具体的には、学校から帰ってきたお子さんに、たった一つの質問を投げかけてみてください。 「今日、学校でどんな勉強をしたの? お母さん(お父さん)にもちょっと教えてよ」
これは「勉強をやったの?」という確認ではありません。
「あなたが学んだことに興味があるから、先生になって教えてほしい」というリクエストです。
生徒が親に説明をするという行為は、脳にとって最高の復習になります。
他人に教えるためには、知識を整理し、自分の言葉で再構築しなければなりません。
これを「ラーニング・ピラミッド」では学習定着率が最も高い方法として定義しています。
親御さんが「へぇ、そんな風に解くんだ!」「お母さんの頃とは全然違うね」と感心して聞くだけで、生徒は「説明できた」という達成感を得て、さらに知識が深く刻まれます。
④【全タイプ共通】集中を「デザイン」する:科学的な環境づくりとスマホの距離感
どんなにやる気があっても、誘惑がたくさんある環境では集中力は続きません。
「家だと集中できない」
「ついついスマホを触ってしまう」
これは生徒の意志力の問題として片づけるのではなく、「環境デザイン」の問題として捉えるとよいですね!
親御さんができる具体的な環境づくりとして、以下の3つのステップがあります。
1.スマホとの「物理的な境界線」を作る
スマホはとても便利ですが、SNSやゲーム、youtube… 通知も鳴るので、近くにあるだけで集中力を削ぐ「誘惑物」となってしまいます。
たとえば、「勉強する時は、スマホはリビングのこの箱に入れる」。
このルールを一方的に押し付けるのではなく、「どうすればもっと集中できるかな?」という問いかけから、本人と納得して決めることが重要です。
自分で決めたルールには責任感が伴いますから。
2.勉強空間の「視覚的ノイズ」を消す
机の上が散らかっていたり、近くにマンガやゲーム機が並んでいたりしませんか?
視覚的な刺激が多いと、脳は無意識にそちらに気を取られてしまいます。
机の上には今やる教材だけを置く。
その他の誘惑物は、扉のある棚に隠すか、別の部屋に移動させる。
こうした「整頓」を親御さんが手伝ってあげるだけでも、集中力の持続時間は劇的に変わります!
3.「背中で示す」教育
子どもに「勉強しろ」と言いながら、親が横でダラダラとテレビを見たり、スマホを弄っていたり……これでは生徒は納得しません。
子どもは意外と親の背中を見ているものです。
お仕事などで大変お疲れなのはわかるのですが…
影響力は大きいです。
親自身が読書をしたり、資格の勉強をしたり、あるいは真剣に仕事の書類を整理している姿を見せる。
家の中に「学びの空気感」を作ること。
これが一番効果的な環境デザインです!
親ができるのは「やりなさい」という言葉での介入ではなく、「やりやすい環境」を整え、「自分も頑張っている姿」を見せること。
なるべくネガティブな独り言なんかも、控えるとなお効果的。
(ハードル高いかもしれませんが…笑。)
実際に自分から勉強していて、成績の上位をキープしている生徒さんのご家庭の話を聞くと、やはりこういう環境を(無意識に)提供しているケースが多いです。
⑤自己イメージを「120点」に書き換える:メンタルブロックを外す魔法の声かけ
学年トップ層を目指したい場合の親御さんができるフォローについて語ります!
どれだけ勉強をしても、ある一定の点数で止まってしまう生徒がいます。
その原因の多くは、実力不足ではなく「メンタルブロック(心理的な限界)」にあります。
人は無意識のうちに「自分はこのくらいのレベルだ」という自己イメージ(セルフイメージ)を持っています。
「自分は平均点くらいがちょうどいい」
「90点なんて、自分には無縁だ」
このイメージが刷り込まれていると、「そのイメージより高い結果」を出そうとしたとき、脳が自動的にブレーキをかけてしまいます。
これが、ケアレスミスや、土壇場での失速の正体です。
親御さんにやっていただきたいのは、この自己イメージの「アップデート」のサポートです。
私が、トップを目指したい生徒によく言う言葉です。
「100点を取りたいなら、『120点を取る』くらいの余裕を持って臨みなさい」
親御さんも、お子さんにこう声をかけてあげてください。
「お前なら、もっと高いところに行けるはずだよ」
「今の頑張りを見てると、100点取っても全然驚かないな」
根拠なんてなくていいんです。
親が誰よりもその子の可能性を信じ、「上位にいるのが当たり前のあなた」というイメージを植え付けてあげることが、限界を突破する力になります。
自己イメージが「トップ層にいるのが当然の自分」に書き換わった瞬間、生徒の行動は変わります。
見直しの精度が上がり、難問への粘り強さが生まれます。
「絶対的な信頼」という魔法を、ぜひお子さんにかけてあげてください。
(※過度なプレッシャーになってしまう場合は、アプローチ法を少し変える必要あり。)
⑥【結論】親子関係を壊さないために:プロ(第三者)を賢く活用するタイミング
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ここまで、親ができる様々なサポートをお伝えしてきました。
しかし、現実として、親子という近すぎる関係ゆえに、どうしても上手くいかないこともあります。
反抗期がピークに達し、親の言葉がすべて「攻撃」や「説得」に聞こえてしまう時期。
あるいは、親御さん自身の不安が強すぎて、お子さんにプレッシャーを与えすぎてしまう時。
そんな時は、無理に親だけで抱え込まないでください。
親子関係を壊してまで勉強を強制させるのはあまりおすすめしません。
そのための「第三者」であり、私たちの塾のようなプロが存在します。
塾の役割は、単に勉強を教えることだけではありません。
親でも学校の先生でもない「斜めの関係」の大人として、生徒の心に火をつけ、客観的な勉強法や目標を提示することです。
もし、今お子さんとの向き合い方に限界を感じているなら、いつでも宮入個別指導塾にご相談ください!
お子さんの性格、現在の学力、目標に合わせた丁寧な指導をします♪